ホジャ・ナスレッディン

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第2話 トルコにつきました

朝11時、無事イスタンブール空港着。すんなり入国し、きょろきょろしていると、すぐに石川君の友人のアリさんがにこやかに出迎えてくれているのをみつける。アリさんの友人の車で、とりあえず今夜の宿へ。車の中から見るイスタンブールは、道路を車がびゅんびゅん走り、色のかわいい大きなマンションみたいな建物がたくさん並び、遠く近くにモスクの丸い屋根と尖塔が見える。天気も良く、緑が多く、何もかも大きくてゆったりとしている。すごくヨーロッパ的だと言ったら、アリさんに「ここはヨーロッパサイドです」と言われた。今夜の宿は、ダルサナというイスラムの勉強をする人たちが集まったり住んだりしているところの部屋をお借りする。とりあえず軽食。アリさんが買ってきてくれたエキメキ(トルコ語でパンのこと)、ヨーグルト、パスタ、チーズ、ツナ、オリーブ、アプリコットジュース、スープ・・・どれもおいしい。ちょうちょ型のパスタは、アリさんが料理してくれた。ゆでて器にもり、上にいきなりどっさりヨーグルト、そしてトマトのソースをのせて食べる。ソースはフライパンにオイル、トマトピュレ、ミント、塩を入れてさっと作ったもの。たっぷりのヨーグルトに一瞬ひるんだが、食べてみるとまろやかでおいしい。

すこし休憩をして、軍隊の博物館に行く。ちょうど3時から軍楽隊の演奏があるという。それってもしかしてわたしの大好きなあのやつ?と興奮気味に急ぐ。すると、建物の前の広場で軍楽隊の生演奏が始まった。

たいこにラッパに生声に、大迫力の演奏を間近でみれて大満足。博物館の中は、すごい大量の展示品、長いトルコの歴史は戦いの歴史だったということがよくわかる。あまり時間がなく、駆け足で見てまわる。コンクリート製の建物のラインや陰影がところどころ美しくて、立ち止まる。

色んな旗がたくさん展示してあった。

石だたみと藍子の足。

 博物館を出て、藍子を遊ばせるために公園までぶらぶら歩く。パン売りのかわいい屋台、道ぞいに並ぶカフェ、町並みはヨーロッパの風情。広い公園に着いて、遊具らしきもののあたりに行くと、大人向けの健康遊具(?)のようなものがあり、ついついあれこれと試してみたりして。

公園をでると、アリさんどんどんどんどん歩きだす。ついていくのが精一杯なスピード。すると海の見えるモスクに着いた。こじんまりとした古そうなモスク。ドームの中には大きな大きなシャンデリアがさがっていて、かなりいい感じだったのだが、写真を撮り忘れた。モスクの建物の横には海を目の前にしたカフェがあり、休憩したかったのだがあいにくアリさんと石川君はラマダン中なのだ。日が落ちる時刻までは一切の飲食はしないのだ。そしてまたさらにえんえん歩く。

住宅街の中のちいさなモスク。
 そして、今夜の夕食をごちそうになるご家庭に到着。ラマダン中は、昼間は何も口にしないかわりに夜はずいぶん豪勢に食べる。そして友人をたくさん招いては大勢で食べる。こちらのお宅は住宅街のなかのマンションの一つだったが、中に入ると部屋が広くて、かなりゆとりのあるお宅のようだった。大きなダイニングルームに食卓が用意されていて、あいさつをかわすとさっそく食事が始まった。

まずはレンズ豆のスープ、ごまののったエキメキ(パン)、サラダをいただく。スープがおわると、キョフテ(ひき肉のお団子)と、豆とお肉の煮込み、ピラフののったお皿がめいめいに配られる。とろっとしてコクのあるスープと香ばしいパンを結構食べちゃったので、次のお皿はなかなかボリューミーでした。パンもあるのにごはんもあって、煮込みとまぜつついただくのがまたおいしい。イスラムでは豚は食べないので、お肉は羊、牛、鶏を食べる。こちらで食べる羊はくせがなくてものすごく美味しい。メインを食べ終えると女性と子供はなんとなくとなりのリビングスペースに移動。男性は礼拝とイスラムの勉強を始める。そのあと、トルコチャイとデザートをいただいた。トルコチャイとは、ちいさなガラスのグラスでいただくお茶。ストレートの紅茶のような味で、2階建てのおもしろいやかんから注いでくれる。やかんの2階に濃いめのお茶が入っていて、1階にお湯が入っている。濃いお茶を注ぎながら時々お湯をさして、濃さを調節するという仕組み。さらに、お茶が冷めにくく、やかんを火にかけていてもお茶は煮詰まらない、という仕掛け。このあとトルコにいる間中、このお茶をずーっといただきました。飲み終えるとすぐさまおかわりを注いでくれます。すごいもてなし力です。そしてデザートはナッツのケーキでした。上になにかクリーム状のものとココナツがトッピングされている。手作りのようだったが、時差ぼけもあり、かなり眠くしかもかなり満腹でちょっとうろ覚えです。帰りがけにイスラム風のあいさつを奥さんと交わしました。抱き合って両方の頬をかるく合わせます。少し年配のゆったりした体型のその女性とそうやって挨拶を交わすと、言葉は全くわからなかったけど、温かな彼女の人柄に包みこまれるような不思議な気持ちになりました。そして車で宿まで送ってもらうと倒れこむように眠りました。ベッドはソファーを変身させる簡易ベッド。(これが結構いろんな家にあってまたびっくり)藍子は落ちるだろうかと思ったがやっぱり落ちた。しかし誰も気づかず、本人も気づかず、しばらくたって寒いなーと思って起きたんだよ、と言ってました。